自己愛的なパーソナリティ心性をテニスの試合に活かす:精神分析的メンタルコーチング

テニスとメンタル

試合で緊張してしまうテニスプレイヤーの心理とは?」の記事で、「中途半端にプライドの高い人は試合で緊張しやすい」と述べました。

今回は、プライド(自尊心)をいかにテニスの試合に活かすかについて、お話してまいります。

「プライドの高い人」を精神医学的に見る

プライドの高さについて精神医学的な面から見ていきましょう。

精神医学的に、プライドの高さなど「個人的な性格」「心の性質」が精神の病として問題になる場合は「パーソナリティ障害」と分類されることが多いです。

プライドの高さが関係する精神疾患というと、「自己愛性パーソナリティ障害」がまず思い浮かびます。

パーソナリティ障害とは?

先に、パーソナリティ障害について簡単にご説明します。

パーソナリティ障害に分類される精神疾患は複数ありますが、病気というよりは性格・性質の問題だと理解することが出来ます。
その人の持つ性格や性質・・・これを心の性質として「心性」と呼びます。

この心性の傾向によって、自己評価のアンバランスさや対人関係の困難さを生んでしまう場合、その困難度にもよりますが、心性ごとに「○○性パーソナリティ障害」と診断されることがあります。

・・・さて、ここからはプライドの高さが関連すると思われる精神疾患、特にパーソナリティ障害について考えていきます。

自己愛とテニス

自己愛性パーソナリティ障害と診断される人というのは、自己愛的な心性を強く持っているために自分がつらくなったり人間関係をうまく築けなかったりする人、という意味になります。

自己愛とは、文字通り「自分を愛する気持ち」です。

自己愛的な心性を多く持つ人は、非常に自尊心が高まり誇大妄想を抱きます。
自己愛性パーソナリティ障害レベルに自尊心(プライド)が高くなれば、「自分が一番すごい」「自分より優れたヤツはいない」と信じ込みます。

病的な心性ですし、実際に自己愛性パーソナリティ障害によって人間関係がうまくいかなくて困っている人もいます。
自己愛性パーソナリティ障害で悩んでいる方には少々失礼な話になりますが、それを踏まえたうえで続きを申し上げます・・・

この「自己愛的なパーソナリティ心性」、テニスプレイヤーならばかなり得な性質と言えるのではないでしょうか。

試合のときに、緊張したり不安になったりするテニスプレイヤーはたくさんいます。
試合のときの不安や緊張の大きな原因は「自信のなさ」です。

「自分が一番」と信じ込んでいて自信満々であるならば、少なくとも試合での緊張感はかなり少なくて済むでしょう。

緊張しやすくて困っているテニスプレイヤーなら、喉から手が出るほどほしい性質ですよね。

自己愛を活かすメンタルコーチング

今、私が指導に携わっているテニスプレイヤーの皆さんには、この自己愛性パーソナリティを試合に応用してもらうことがあります。
「試合中だけ自己愛をとことん高める」という考え方です。

「自己愛」を「自信」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。
「自分が一番すごい」「自分がミスするわけない」と、自分で自分を信じられていれば、そんじょそこらの試合なんて怖くなくなりますね。

とはいえ、精神的健康度の高いテニスプレイヤーが試合のときだけ自己愛を病的なまでに高めるのはコツも要りますし性格によってはフィットする方法とは限りませんので注意が必要です。

自己愛を高めるメンタルトレーニング

試合中だけ自己愛的な心性をとことん高めるためのメンタルトレーニング方法は、簡単です。

とにかく、自信を持つのです。

次のように自分に言い聞かせるようにすると良いです。

「自分はすごい」
「自分が負けるわけない」
「相手より全然強い」

意図的に、自覚的に、自信を持ってください。

自己愛を高めるコツ 1.根拠のない自信を持つ

試合中に自己愛を高めるためのメンタルトレーニングを成功させるにはどうしたら良いでしょうか。

コツは、「根拠のない自信」を抱くことです。

例えば、
「あれだけ練習したのだから、自信を持とう」
「練習で決め球をみっちり鍛えたから絶対勝てる」
「メンタルコーチングを受けているんだからこれまでの自分とは違う」
・・・このような言い聞かせ方はNGです。

練習やコーチングを自信の根拠にしているからです。

練習やコーチングを自信の根拠にしてしまうと、その根拠が揺るがされたときに一気に気持ちが崩れてしまう危険性があります。

例えば、
何度も練習して精度を上げたショットが簡単に打ち返されてしまったら、「あれ? あんなに練習したのに・・・」と思ってしまいますよね。
自信の根拠になっていたはずの「練習」に疑念がわいている状況です。

土台がしっかりしていなければ、上に立っているものも安定性を欠いてしまいますね。脆い土台の上に建設されているビルが、ちょっとの地震で崩壊してしまうかのごとく、です。

ですから、「練習」を根拠にしているとその練習の上に成り立っているあなたの自信も揺らいでしまうことになります。
これでは、自己愛を高めることに失敗してしまいます。

ですから、何があっても自信が揺らがないように、「○○をしたから大丈夫」というような自信の持ち方をしないこと。
これが、「自己愛を高めるメンタルトレーニング」では不可欠なポイントです。

ミスショットを連発しても「全然大丈夫。次は打てるに決まってるし」と思うことが出来る。
相手に良いショットを決められても「別に、今のは相手がたまたま良かっただけ。実力は完全に自分が上。自分が勝つに決まってる」と思うことが出来る。
・・・そんな状態を目指します。

自己愛を高めるコツ 1.絶対的な愛・無条件の愛をイメージ

もうひとつのコツは、「絶対的な愛」「無条件の愛」をイメージすることです。

お母さんと赤ちゃんの関係をイメージしてみてください。
お母さんは、赤ちゃんが何をしても、どれだけ泣いても、どれだけおむつを汚しても、「かわいい」「愛してる」と思えますね。

それほどまでに「絶対的な愛」「無条件な愛」を、自分で自分に注ぐこと。
それが、自己愛を高める方法です。

注意事項として、1点だけ申し上げます。
自己愛を高めるメンタルトレーニング、くれぐれも試合の最中だけ心がけてくださいね。
試合以外のときにも自己愛を高めてしまいすぎると、ただの「痛い人」になってしまいますからね。
でも、自己愛をなくしすぎてもいけません。
適度な自己愛を保つと、精神的に健康でいられます。


以上、自己愛的な心性を試合に活かすメンタルコーチングおよびメンタルトレーニングについて、でした。
あなたの練習や試合の参考にしていただけたら光栄です。

メンタルコーチMINAKO
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image:Shad0wfallによるPixabayからの画像

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